LAN 共有機能の概要とメリット
現代のインターネット環境において、PC だけでなくスマートフォン、タブレット、そして Nintendo Switch や PlayStation といったゲーム機でも高速で安定したプロキシ環境を求める声が高まっています。しかし、すべてのデバイスにプロキシクライアントをインストールして個別に購読を設定するのは手間がかかります。
ここで役立つのが Clash Verge Rev の「LAN 共有(Allow LAN)」機能です。この機能を有効にすると、Clash が動作している PC が一種の「プロキシサーバー」として機能し、同じ Wi-Fi や有線 LAN に接続されている他のデバイスの通信を中継できるようになります。
この方法の最大のメリットは、プロキシ非対応のデバイス(一部のスマート家電や古いゲーム機など)でも、PC を経由することで間接的にプロキシを利用できる点にあります。また、PC 側で高度なルール分流を設定しておけば、スマホ側は単純なプロキシ設定だけでその恩恵を受けることができます。
Clash Verge Rev で Allow LAN を有効化する
まずはホストとなる PC 側の Clash Verge Rev で設定を行います。デフォルトではセキュリティ上の理由から、外部デバイスからの接続は拒否される設定になっています。
設定手順:
- Clash Verge Rev を起動し、左側のメニューから 「Settings(設定)」 をクリックします。
- 「Clash Core」 セクション(または General)にある 「Allow LAN」 のスイッチを探します。
- このスイッチを ON(有効) に切り替えます。
- 次に、その近くにある 「Mixed Port」 の値を確認します。デフォルトでは
7890に設定されていることが多いですが、これをメモしておいてください。
設定を変更した後は、一度 「Runtime(実行中)」 画面を確認するか、Clash を再起動して設定が反映されているか確認しましょう。ログ画面に Start Mixed Port at :7890 と表示されていれば、PC 内部での準備は完了です。
PC のローカル IP アドレスを確認する
他デバイスから PC に接続するためには、PC が LAN 内でどの住所(IP アドレス)を持っているかを知る必要があります。これは 127.0.0.1(自分自身)ではなく、192.168.x.x のような形式のアドレスです。
Windows コマンドプロンプトでの確認方法
# コマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを入力
ipconfig
# 出力結果の中から「IPv4 アドレス」を探す
# 例: IPv4 Address . . . . . . . . . . . : 192.168.1.15
この 192.168.1.15(環境により異なります)が、スマホ側で入力する「サーバー住所」になります。IP アドレスが頻繁に変わると不便なため、可能であればルーター側の設定で PC の IP アドレスを固定(静的割当)しておくことをお勧めします。
Windows ファイアウォールの設定(重要)
ここが最も多くのユーザーが躓くポイントです。Clash 側で「Allow LAN」を有効にしても、Windows のファイアウォールが外部からの通信をブロックしていると、他デバイスは接続できません。
最も確実な方法は、Clash Verge Rev の実行バイナリに対して「受信規則」を許可することです。
- コントロールパネル > システムとセキュリティ > Windows ファイアウォールによるアプリケーションの許可 を開きます。
- 「設定の変更」をクリックし、
Clash Vergeまたはclash-meta.exeを探します。 - 「プライベート」 および 「パブリック」(必要に応じて)のチェックボックスをオンにします。
もしリストに見当たらない場合は、「別のアプリの許可」から Clash Verge Rev のインストールディレクトリ内にある resources/bin/clash-meta.exe(または mihomo.exe)を直接指定して追加してください。
スマホや Switch 側でのプロキシ設定手順
PC 側の準備ができたら、共有先のデバイスを設定します。ここでは iOS と Nintendo Switch を例に挙げます。
iOS(iPhone / iPad)の場合:
- 「設定」>「Wi-Fi」を開き、接続中のネットワークの右側にある「i」アイコンをタップします。
- 一番下の 「プロキシを構成」 をタップし、 「手動」 を選択します。
- サーバ: 先ほど確認した PC の IP アドレス(例:
192.168.1.15)を入力。 - ポート: Clash の Mixed Port(例:
7890)を入力。 - 「保存」をタップします。
Nintendo Switch の場合:
- 「設定」>「インターネット」>「インターネット設定」を開きます。
- 接続済みのネットワークを選び、「設定の変更」を選択します。
- 「プロキシ設定」 を「する」に変更します。
- サーバー: PC の IP アドレスを入力。
- ポート: Mixed Port 番号を入力。
- 「保存」して、接続テストを行います。
LAN 共有が繋がらない時のチェックリスト
設定したのにインターネットに繋がらない場合は、以下の項目を一つずつ確認してください。
- ホスト PC でプロキシが動作しているか: PC 自体でブラウザからプロキシ経由の通信ができているか確認してください。
- Allow LAN が本当に ON か: Clash Verge Rev の設定をもう一度確認してください。設定変更後に「Save」や「Apply」が必要な場合があります。
- ファイアウォールの干渉: 一時的に Windows ファイアウォールを無効化して繋がるかテストしてください。繋がる場合は、規則の設定が間違っています。
- ウイルス対策ソフト: ESET やカスペルスキーなどのサードパーティ製ソフトが通信を遮断していることがあります。
- ネットワークのプロファイル: Windows のネットワーク設定が「パブリック」になっていると制限が厳しくなります。「プライベート」に変更してみてください。
セキュリティ上の注意点とベストプラクティス
LAN 共有は非常に便利ですが、公共の Wi-Fi(カフェやホテルのフリー Wi-Fi)で「Allow LAN」を有効にしたままにするのは危険です。同じ Wi-Fi に繋いでいる見知らぬ他人が、あなたの PC をプロキシサーバーとして勝手に利用できてしまうからです。
ベストプラクティス:自宅以外のネットワークに接続する際は、必ず「Allow LAN」をオフにするか、ファイアウォールで信頼できるデバイスの IP アドレスのみを許可する設定を行ってください。
また、共有先のデバイスで多くの通信(大容量のダウンロードなど)を行うと、ホスト PC の CPU やネットワーク帯域を消費します。ゲームのアップデートなどを行う際は、PC 側の負荷状況にも注意しましょう。
結語
Clash Verge Rev の LAN 共有機能をマスターすれば、家中のあらゆるデバイスで自由なインターネット環境を構築できます。特に Switch や PS5 などのゲーム機で海外サーバーを利用したい場合、この設定は非常に強力な武器となります。
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